【国内ランジェリーブランドレポート Vol.7 – Albage_ lingerie アルバージェランジェリー】
知性と色気、強さと儚さ、ジェンダーレスな展開、相反する世界観が美しく調和されているランジェリーブランド「Albage」。肌に吸い付くような繊細な着け心地と上質さはまさにジュエリーそのもの。CEO、デザイナーを務める高崎さん、そして同じく創業者であるCOO織田さんのお二人から、今を生きるすべてのジェンダーの方へのメッセージ、そしてブランドに込めた思い、出来立ての新作について、たくさん伺うことができました。
左:織田さん 右:高崎さん
― ブランド立ち上げの経緯についてお聞かせください。
織田さん(以下敬称略):
XY(会社)自体は2015年創業です。25歳の当時、女性に向けたサービスをつくって女性の価値観をアップデートしていくような何かを始めたいという思いはあったのですが、夢と現実のギャップに苦しむところがありました。
そんな中、知人の紹介で高崎と出会いました。私は女性向けのメディアをやりたいという漠然とした思いがあり、高崎の方も同じく、女性に向けて価値観をアップデートしたいという思いを抱えておりました。高崎と初めて会った日に「自分はランジェリーを作ることができる。 “女性のマインドを変える” となったときにランジェリーというものは、女性の心に訴えかけるツールになり得る。」という話を聞き「じゃあ、ブランドを作りましょう!」となり、あれよあれよと進んで行きました。
私たち2人を繋げてくれた知人と3人で会社を立ち上げ、知人はグラフィックデザイナーだったのでメンズライン(Algesso)のデザインをしていただく形で始めました。
なので、ランジェリーブランドを創る目的というよりは、女性に向けて新しい価値観をアップデートしていくこと、 “主体性ある人生を送るにはどうしたらよいか?” というきっかけ作りになるような事業をしていけたら良いよね。という思いの中にランジェリーがあったんです。
― ランジェリーが女性のマインドを変えることの出来るツールとおっしゃられていましたが、どうしてランジェリーだったのでしょうか?
高崎さん(以下敬称略):
私が12、3歳のころ、ヨーロッパのランジェリーに触れる機会があったんです。その頃は日本のカルチャーが好きだったのですが、とはいえ現代の日本のカルチャーに疑問を抱くところが多々ありました。フランスやヨーロッパの女性像ですとか、社会的な背景をランジェリーをきっかけに知っていくのですが、とても自立した女性が多く、ランジェリーを自分のために着こなしていたんですね。
その映像や写真を見た時に、とっても衝撃を受けて、女というものを男の人のために変に使っていない像がすごくかっこ良くて、こういうランジェリーが似合う人になりたいと思ったのがきっかけです。そこから「自立した人ってどういうものだろう?」と思って本を読んでいくのですが、教えてくれたきっかけはランジェリーだったという実体験が大きかったです。
この話を創業当時、織田にもしました。いわゆるメディアという物に懐疑的な部分があったので、何か他の手段はないだろうか? お互いに見ている世界は近いけれど、手段は他に何があるのか、今世の中にないもので価値を創造できないか? という点で意気投合しました。
― ブランドに対する思いや大切にされていることを教えてください。
高崎: あくまで、Albage はXY(会社)が掲げている「女性に対する哲学」を伝えていく役目があるので、マスや消費の方に追いやらないデザインであること、ブランドメッセージが毎シーズンしっかりしていること、女性の心に残る言葉であること。を重要視してここまで運営してきました。
よく「これはAlbageらしいアウトプットか?」という部分を2人で話し合うのですが、感覚的に認識している部分を言語化することに苦労しています。Albageらしさっていうものは、「女性の選択肢になる」ということなのであくまで価値観を固定化しないようにしています。あらゆる選択肢を提供できるようなコンセプトでありつづけることを非常に大切にしています。
- デザインのインスピレーションはどこから湧き上がってくるのでしょうか?
常に世の中の声、SNS上で湧き上がる声、そして身の回りで起きている女性の変化という所から「今、女性に届けるべきメッセージは何か?」をいつも考えて毎シーズンのコレクションのソースが決まっていきます。その視点は基本的にはちょっとネガティブなことが多いです。 “女性の苦しい事やつらい出来事を、自身で昇華できるようなメッセージになったらいいな” と思うので全体のテーマは薄暗いところからスタートしています。
Albageのインスタワークにも “Inspired by you” と入っているのですが、世の中の女性のあらゆる出来事がコレクションソースになっています。
気持ちだけでデザインに落とし込むのは難しいので、日本画の画集の中から要素をヒントとしてもらっていきます。当時の画家さんたちが気持ちを表現するときに使った色とか・・・あとはひたすらランジェリーに落とし込んで描いていきます。
織田: これまでのコレクションのインスピレーションソースは、渋谷PARCO店にも置いてあります。それこそ、お買い物じゃなくてもお越しいただければ見て読んで体感していただけると思います。
― 2人が出会ったことで、お2人の間にも新しい価値観が生まれましたか?
織田: そうですね、私はクリエイティブ畑にいたわけでもなくWEB関係の仕事をしていたので、クライアントの意見や要望を吸い上げてアウトプットに繋げる作業は慣れていました。高崎のクリエイティブな部分を皆さんに伝えるに当たって、より一般的な言語に変えていくことが出来たのがAlbageの良さの一つかなという自負はあります。
「コレクションのメッセージをどんなものにしようか」となった時、高崎の出してくれたキーワードを私が文章にまとめてメッセージにします。なので、一度私のフィルターが入り一般化されていると思います。
かといってデザイナーズブランドなので、バランスをみながら高崎のこだわりをお客様に伝わりやすいようSNSで発信したり、お客様とのコミュニケーションを深めていったり、そんな部分もAlbageを面白いと思っていただける理由かなと思います。
高崎: 確かにそうですね、私は基本的にはデザインの勉強から入っているので、自分の内側から湧くものを形にすることはできるけれど、アパレルはユーザーさんの‘見えない欲しい’に応えることが必要。ターゲット視点になれることが重要なので、ターゲット視点とクリエイティブ視点を織田と一緒に模索しながらAlbageにとっての最適な配分を毎シーズン行っています。これは新しい感覚でした。
― お2人が初めて作られたランジェリーについてお聞かせください。
高崎: ファーストコレクションは会社の船出の時だったので、当事者意識の強いコレクションでで、「門出」というタイトルにしました。 “門出” と聞くと一見華やかな感じに捉えられますが、門出って実はハッピーなことばかりではなくて、変化って実は人にとってはストレスにもなるんですね。
変化があること、ストレスがあることをポジティブに捉える言葉が門出なので、ハッピーなイメージの要素である “白無垢” や “結婚” というイメものからデザインに落とし込んでいきました。
白、赤そして真っ黒なランジェリーも作りました。ただハッピーなテーマだけではなく、ちょっとピリッとしたエッセンスも欲しかったので黒いランジェリー「トリミング」も作りました。ストレートなシルエットにして、Albageらしいエッジを取り入れたものが初期コレクションです。今思うと粗削りなコレクションですが「トリミング」は愛された商品でもあったので今もベースとしてシルエットを引き継いでいる部分はあります。
当時は、ベースは出来ていてもAlbageらしさや提供すべきものを確立する前だったので、今、ここ数シーズンが一番アルバージェらしいコレクションになっていると思います。1コレクションの中になるべく多様性を持たせていたいので、ファーストコレクションも華やかな印象とクールな印象が混在していてAlbageらしいといえばらしいですね。本当に種となるコレクションだったと感じます。
― Albageが提供すべきものが確立されたのが最近ということですが・・・
織田: 確立しつつありますが、個人的には無限に確立はされないと思っています。女性が変化していけばその分Albageも変化していく。なのでおそらく完全に確立されることはないと思うのですが、一方で自分たちの姿勢は確立されてきています。
基本的に女性たちの代弁者になりたいし、戦友になっていきたい。女性たちが抱えている課題に真摯に向き合っていくとなると、今の世の中はとても変化に富んでいるので、コロナ渦のように価値観がひっくり返るようなことがあればAlbageも変化していくのだと思います。
私たちがよく話していることなのですがAlbageを1人の女性として考えているんです。スタッフが増えて “何を共通言語としてAlbageを運営していこうか” と考えたり、課題を見つけた時に「Albageさんならどう解決していくかな?」と考えて進路変更をするなど、私たちもAlbageも女性としてそれぞれのライフステージを登って行っている感じです。
― 『Lingerie for Education』というフェムテック関連商品の寄付を児童養護施設へ行うプロジェクトもされているようですが、どのようなものなのでしょうか?
織田: 『Lingerie for Education』は20AWコレクションから始め、21SSでも同じ取り組みをしようと考えています。
そもそも会社設立の起源が、女性の選択肢創出や性教育、人権教育に興味があっての創業なので、その部分の取り組みをそろそろしていこうと話していました。ただ、とってもセンシティブな問題ですし私たちにも何が正解かはわからない。であれば「まずは出来ることからやっていこう」ということで、売り上げの一部をOne buy one donate方式で、誰かが購入してくれたらそれが寄付に回っていくという方法が、とってもわかりやすいんじゃないかと考えました。
昨今フェムテックが世の中で取り上げられていて、それはとても前向きな事だけれど光の反対には影があるように、経済格差や育ってきた環境によって、フェムテックの情報にアクセスできない子たちも一定数いる。彼女たちにとってはフェムテックの盛り上がりは苦しいものかもしれないし、何も知らない子さえいる現状。
私たちに何か出来ることがあるんじゃないかと考えて、Periodさん(日本初の経血吸水ショーツブランド)にご協力いただき、売上金の一部から経血吸水ショーツを購入させていただき、日本善意銀行さんという団体の担当者の方と相談しながら、寄付先を決めました。
初潮期を迎えたティーンエイジャーへという私たちのリクエストもあり、DVで行き場所を失ってしまった子たちを保護する施設だったり、児童養護施設を出た後の自立支援をする施設だったり、街中で売春をしないと生きていけない子たちを一時的に保護するシェルターへの寄付を決めました。 施設からのお礼状で知ったのですが、彼女たちの中には「明日着る下着がない」というケースもあるそうです。
そうなったときに、 “経血吸水ショーツであれば下着としての役割もあるしフェムテックのことも知ることができる。衛生的にも経済的にも、何度も洗って使えるのがいい。” という声もいただきました。
寄付の際に、日本善意銀行さんに募集をかけていただいたのですが、私たちが提供できる数の何十倍の応募がありました。その時は大変残念ですが抽選とさせていただきました。それだけ求めてもらえるならば、前回お届け出来なかった施設へもお届けすべく 21SSコレクションもこの取り組みをさせていただく予定です。
高崎: 織田が言ったように、フェムテックという情報が届かない層もいるという現実があります。セミナーのご依頼をいただくこともありますが、私たちがセミナーを開催するのは本質と違う。
届かない層に向けて、言語とは別で届く手段はないものか、ずっと模索していました。なので、今回初めてショーツをお届けすることで性教育に繋がるのではないか、支援になるのではないかという1歩を踏み出せたことは、会社にとって大きなことです。
女性って、自分を大事にするアイテムを使うと自身を大切にするんです。なので、そんな体験をしてもらえたらすごく嬉しいと思います。
お客様からも「自分たちがランジェリーを楽しもうと思った気持ちが、同じ国に住む女の子たちの支援に繋がることが嬉しい」という声をいただいています。
― 国内へ向けてというのがまた良いですね。
織田: はい。例えば “国際女性デー” とか海外が絡むと日本はすごく盛り上がるじゃないですか。でも「ちょっと待て!」と。灯台下暗しというか「自分たちの身の周りはどう?」という感覚があり、ドメスティックブランドだからこそ、まず出来ることは身近なところじゃない?と。
都内にも施設はありますし、街中ですれ違っている女の子のためになっているかもしれない。今の私たちにとってはまずはそこが大事です。
― メンズラインAlgesso Underwearについては、どういった思いがあってつくられたのですか?
織田: XYという会社自体がジェンダーレスというか、XYというのは男性染色体の名前なんです。だけど会社は女性だけでやっている。なんとか男女のバランスをとっていこうということでメンズラインも作ろうとなったんです。
“ジェンダーレス” や “誰にも見せないペアルック” というコンセプトがあることで、表立ってお揃いのものを付けられないカップルにも楽しんでいただけるんじゃないかなと思いました。
高崎: 女性のための会社と思われがちですが、創業当時から男性も一緒に救っていくというのがテーマにあります。女性だけが進んでいっても課題解決にはならなくて、男性が抱えている問題もあります。それも含めて男女だけではなくLGBTを含めてジェンダーの問題を解決していきたいという思いを込めてメンズラインも立ち上げました。
- ジェンダーレスを掲げていらっしゃる点も印象的なのですが、そこに至られた経緯を教えてください。
高崎: 私はバイセクシャルなので私自身が当事者に近いということもありますし、「男だから女だから」という、性別で人をジャッジすることに違和感を覚えていました。
その「人となり」を見るようにしたかったという思いがあります。女性物のアイテムはどうしても女の世界になってしまい、それはフィロソフィーから外れていく。いろんな肉体を持った人が買えるようにしたかったんです。
織田: 私は18歳の時に読んだ本の影響で銀座の夜の世界に興味をもち、老舗のクラブで2年ほど働きました。いい意味で男性に好かれてなんぼの世界、だけどそこにはルールや筋があって、すごく刺激的な世界でした。男性に寄り添っているようであってホステスさんたちはとても自立している。そしてお客様もホステスへのリスペクトがある。その住み分けがとても素敵だと思いました。
でも当時の社会の風潮は「男性に負けるな! 女を売るな!」という雰囲気があって、私が会社を立ち上げるときにも女である故にこんな扱いを受けるんだという経験もあり、この時初めてビジネス界でのジェンダーギャップを感じました。どんどん時代は「女も強く」という流れになっていきましたが、すると今度は男性の居心地が悪くなる世界も見えてきたんです。
男性が女性をリスペクトしていないからジェンダーギャップが生まれるとは限らない。両方の側面も見たからこそ、女性の声だけを拾っていては「幸せな男女平等」にはならないと思ったんです。男性にも少し寄り添う考え方で女性をエンパワーメントしていく事が、互いにとって幸せなのではないかと。
なので、男性も買うことができるランジェリーや、女性と一緒に試着室に入れるショップをつくりたいという思いもありました。男女ともにハッピーである “ちょうど良いライン” をAlbageを通して模索しています。
現在はTENGAさんとお取引させていただき、TENGAとiroha両方をお店に置いて、男性も普通に買い物が出来るような環境を整え、ジェンダーレスに寄せています。性教育の一環として、セルフプレジャーを啓蒙するという意味も込めて性教育につながる周辺アイテムも増やしていきたいなと思っています。
基本的にはセクシャルなコンテンツをNGとしない。セックスをポジティブなものとして理解してもらうための施策。Albageにはセクシャルを肯定していく役目があると思っています。直観的に「これ欲しい!」と思ったものをラインナップしていけばお客様がご自身で掘ってくれると思うんです。Albageはあくまできっかけを提供しています。
隠さずにいろんな所で買える、蔑んだ目で見る人がいないという空気をAlbageの売り場で作っていければと思います。
― 発表されたばかりの新作のコンセプトやおすすめポイントについてお聞かせください。
織田: 『深呼吸 deep breathing』というコレクションになります。ストレスフルな社会でついつい深呼吸することを忘れがちなので、そのきっかけとなればいいなと。
高崎: 人って集中すると呼吸が浅くなる特徴があるんです。お仕事をなさっていると情報の接種速度が速いですし、消費も早いので脳が常にフル回転状態で、青空を見上げたり土に触れたりする瞬間が極めて少なくなってきます。コロナの影響で家も出られないこともあり、リフレッシュの機会も減っている。みんなが「苦しい」と言っている声が聞こえてきたので、‘程よい息抜きも大切’そんなメッセージを打ち出せたらなと思いました。
イメージソースとしては土や青空の色など、菜園・農園・根菜類の色をイメージしています。ブルーベリーで染めた色、抹茶で染めた色を真似るなど、日本人としてなじみのある色を良い素材を使って大人っぽいカッティングで作っています。
『テレコシリーズ』はカジュアルに着ていただけるシリーズです。カップ付きでサラっと気軽に着ていただけるもの、だけれどもスタイリッシュなデザインであること。
ペルビアンビマテレコという、コットンの中でも毛の長い高級なコットンを100%使っていて、吸水性も良いですし肌ざわりもトロっとしていて滑らかで伸びもすごく良いです。このシリーズの素材は昔から好評なので継続していろいろなカラーを展開しています。
それからサテンとヨーロッパのレースを使ったシリーズもあります。リバーレースというフランスの中でも特に良いレースで昔は国外流出をさせないように国が守っていた物を使用しています。日本ではウェディングドレスに使われているものです。こちらのブラジャーは「カーテンレースブラ」と名付けています。アンダーから下がるリバーレースがくびれをしなやかに美しく魅せる視覚効果があります。
織田: Algesso Underwearは女性、男性どちらもお使いいただけるパターンを使用しています。
弊社で、日本茶ブランドのブランディングをさせていただいておりまして、コラボレーションした商品となっています。同じ鶴の柄の入った、ガラス製の茶漉し付きエコボトルがSETになる予定です。
お茶を飲む時間は「一服」というくらいなので深呼吸のきっかけになればコレクションとしての親和性もあるので、今回共に発表する事となりました。
生地にもこだわっていて、非常に伸びが良く、たくさん洗っても毛玉になりづらいです。水着にも使える生地なので速乾性があります。ゴム部分のロゴは高級感を出すためにあえて刺繍にしています。
高崎: 今回は14アイテムあるのですが、これまでよりも多くの女性の層に届けられるように歴代コレクションの中でもデザイン展開を多くしました。
これまではタンガ押しだったのですが、タンガ以外にもヒップラインを包んでくれるショーツも作りました。お好みによって、好みのブラとショーツを選び分けられるような全体の構成になっています。
リボンは帯っぽくしたかったので、甘くなりすぎず大人でもつけられます。
土や菜園をコレクションソースとしたのは、リラックスの意味もありましたが、童心に帰るきっかけって基本的には昔から感じている匂いや昔からやっていることをすることだと思ったんです。女の人ってリボン結びを練習した経験があるとか・・・そんな要素を大人っぽく入れて行きました。
織田: タンクトップブラは人気のシリーズでして、Albageでは同じシリーズの再販はあまりしていなかったのですが、お客様の声にお応えし、新しく楽しんでいただければと思いレースも色味も変えて新色を出しました。
下着はブラホックの部分が見えると、いかにも下着感が出てしまうのですが、ホックの部品を個性的なものにしたり、フロントホックにするなどしてバックコンシャスでお洋服に合わせやすいようなランジェリーのご提案もしています。
高崎: パワーネットはヨーロッパから仕入れています。やはり滑らかさや柔らかさ、透け感が国内産と違うんです。肌ざわりも良いです。Albageのお客様にはなるべく上質なレースに触れていただきたいという思いから、毎シーズン素材にはこだわりを持って使っています。
― ワンピースやタンクトップブラなど、お洋服にも合わせやすいものがたくさんあってワクワクします。おすすめのランジェリーファッションについても教えてください。
織田: 今着ているタンクトップブラのように、カットアウトしているお洋服やバックコンシャスな服に合わせるのが基本的にはおすすめですね。
『ワンマイルウェア』というものも出しているんですが、お部屋着にもなるようなスリップでワンピースのようにアウターとしても着ることができます。新作の『Tsuya Open Back OP』は渋谷PARCOのスタッフたちが「#albage_staff_snap」というハッシュタグをつけてそれぞれの着こなしをインスタグラムで更新してくれています。
毎日一生懸命スナップをあげてくれて、私も参考になっています。これは高崎と2人だけでは出来なかった事なのでスタッフにとても感謝しています。
着こなしのコツとしては、Albageの要素として「削ぎ落していく」ということがあるので、前が露出してたら後ろを隠す。後ろが露出していたら前を隠す。フロントとバックで表情が変わるスタイリングをお薦めしています。
“やりすぎないこと、どこかを出したらどこかを隠す”という事が、品とか知性に繋がってくると思います。あとは、ランジェリーを主役にしてあげると、スタイリングが決まりやすくなると思います。「このランジェリーにはどの服が合うだろうか」という発想で選んであげるとスタイリングしやすくなると思います。
― プライベートな質問ですが、最初に購入したランジェリーはどんなものだったのでしょうか?
高崎: 思い出深いランジェリーを持参してきました。とはいえ本当に最初の物はもう無いので、パリに留学に行く前に、「パリで購入する!」と決めて初めて自分で購入した高級ランジェリーを持ってきました。
今の趣味とは全く違ってちょっと若いですね。18歳の時でした。 『Chantal Thomas』というブランドで、留学中にデザイナーご本人にお会いする機会があり、「あなたのランジェリーで私はパリまで行くことが出来ました」という報告ができました。
もう1つは『LA Perla』のショーツです。これも留学中に「絶対に買うべきだ!」と思ってセールまで待って一生懸命お金を貯めて買いました。大事すぎてこれはまだ履いたことがありません。
作り手になった今でも、ランジェリーに対するピュアなときめきを取り戻すことのできる本当に思い出深いランジェリーです。
ランジェリーには「これが似合う女になるにはどうしたらいいか?」っていう自分を引き上げるパワーがあります。本当にランジェリーって先生みたいになってくれるんです。近所の憧れのお姉さんじゃないけれど、Albageも誰かにとって戦友であったり近所の素敵なお姉さんであったり、そういった存在になれたらいいなと思ってデザインしています。
― 好きなタイプのランジェリーを教えてください。
高崎: 個人的に好きなランジェリーのタイプはボディスーツです。Albageでも作っているのですが、お客様からも評判が良いので、自分でもよく私服で着るようにして改善点を探しています。ボディスーツってとても楽なんですよね。基本的に楽なものが好きです。
レースも洋服には全く使わないのですが、ランジェリーだけには使っています。レースはハードルが高く見られがちなのですが、カジュアルなシルエットだと皆さんチャレンジしれくれるので、Albageではレースと「天竺」というヘルシー素材を組み合わせて作っています。
織田: 考えてみたのですが、TPOで好きなものが全然違うことに気づきました。普段はボディスーツが楽なので選ぶことが多いですが、出かけた先で目を引きたいなと思うときは、デコルテ部分に装飾のあるタンクトップブラを選んだり、特別な時間を過ごすときはバルコネットタイプの脱いで美しいものを選んだりしています。
高崎: よく、XY社内ではランジェリーにもTPOがあるということを言っています。日本にはあまりその概念がないのですが、ヨーロッパでは本当に大量のサイズ展開、形展開があるんです。1つのディティールで何タイプもの種類があるので、シチュエーションによって、好みによって選ぶことが出来る。なので、それを今後Albageでも出来るようになるのも目標の1つです。今回の新作では形違いのブラとショーツを作っています。もう少し増やしていきたいですが、まずは最初の段階をクリアしました。お客様にも “売り場で沢山の展開から選ぶ” という体験を楽しんでいただきたいです。
― これからのAlbageにも繋がってくることですね。今後の展開をお聞かせください。
織田: 8月一杯まで渋谷PARCOのショップがあります。私たちとしては今後も継続出来たらなとは思っていますが、延長かどうかに関してはまだ未確定です。せっかくスタッフも入ってくれましたし、いずれにせよ、リアルな場でもお客様とコミュニケーションを深められる機会を引き続き作っていく必要性は感じています。このご時世だからこそ、逆にリアルでお客様とコミュニケーションをとっていける方法を考えています。
新たな取り組みとしては「Albâge Soigner(ソワニエ)」という承認制のinstagramアカウントを作りました。ソワニエはフランスのレストランにあるカルチャーなのですが、お店にとってのアイコニックなお客様や、常連客を表す言葉だそうです。
今のAlbageはPARCOさんに出店させていただいたおかげで、顧客様が増え、ご支援も広がっています。ですが、今こそ最初から応援してくださっているお客様とのコミュニケーションを深めていきたいなと思い、オンラインと店舗で会員登録してくださってたお客様用の承認制アカウントを作りました。アカウント内ではソワニエ限定コンテンツを企画しています。インスタでのオンライン接客や、ソワニエ内でしか読めないエッセイの発信、先行予約会の優先案内などを実施しています。
なので、「海外を目指します」とかではなく、今一度原点に立ち返って初期から応援してくださる方と、新しく応援してくださる方の温度感を一緒にしていけたらと思っています。ブランドを愛してくださるお客様が誰か1人でも置いてきぼりになったら嫌だなと思うので。そのあたりのバランスをとりつつさらにブランドを成長させていこうと思っています。
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ランジェリー大好き。Lingerine第1号です。ファッション、美容、ワインも好きです。よろしくお願いします。