Lingerine ショップ&ブランド選択肢はさらに広がり多様性の時代へ 2022年新ブランドに見るランジェリーの未来

予想もしなかった出来事に立ち向かい、誰もが頑張ったこの3年。そろそろ新しい時代へと歩みを進める、そんな予感に満ちた2023年の幕開けです。
世の中が停滞したかのようにも見えましたが、実はファッション業界と同様、ランジェリー業界も新たな動きが色々とありました。とくに2022年は、大手アパレルが展開するものから個人デザイナーが手掛けるものまで、新たなランジェリーブランドがいくつもデビューしました。

ボディスーツにフォーカスしたブランド「The DUNE」初の展示会

しかもそのスタイルは個性に溢れ、ランジェリーの幅と奥行きを感じさせてくれるものばかり。今でも時々「日本のブラは、寄せたり上げたり、ボリュームアップさせるものばかり」なんて揶揄する声を聞くことがありますが、それはもう遠い過去の話。欧米にも決して引けを取らない多様性が日本にはあると実感していますし、そして、その流れは2023年も続いていくことでしょう。

初の直営店House of Hermeで開催された、小嶋陽菜さんプロデュース「ROSIER by Her lip to」のお披露目会

そして、多様性があるということは選択肢が広がっているということ。それは幸せなことであり、そのたくさんある選択肢の中から、ぜひ自分の意志で自分の好きなランジェリーを選んで欲しいと思います。なぜなら、ランジェリーを大切に選ぶことは自分を大切にすることにきっと繋がるから。私はそう信じています。

2022年に出会ったニューフェイスブランド5選

ここからは、私が取材する中で出会ったニューフェイスのブランドをご紹介しましょう。こうして並べると本当にバラエティ豊か。あなたの心とからだにフィットするランジェリーはどれですか?

ROSIER by Her lip to | 元AKB48の小嶋陽菜プロデュース

Everyday Essential Bra ¥4,800Everyday Essential Shorts ¥2,600/ロジア バイ ハーリップトゥ

元 AKB48の小嶋陽菜さんが手掛ける初のランジェリーブランドとして、22年の9月に発表された「ROSIER by Her lip to」。デビューはブラジャー2型、ショーツ2型のコンパクトなコレクションでしたが、大きな話題となり、発売初日に一部サイズは即完売するという人気ぶりでした。
ブランドコンセプトとなるメッセージの一部がこちら。
「女性らしさ、を選んでいこう
多様性を尊重する時代だからこそ女性らしさを選ぶ自由を肯定したい」
素敵ですよね。“女性らしさ”という言葉がなんとなく使い辛くなっている今、あえてその言葉を掲げ、その意志と進もうとする道をはっきりと示すメッセージが心に響きます。

Ribbon Leavers Lace Bra Set ¥12,000/ロジア バイ ハーリップトゥ

11月には、数量限定の「Exclusive Collection」をリリース。パリで撮影されたビジュアルは、ホリデーシーズンにふさわしいドラマチックな展開をイメージさせる演出。小嶋さんのインタビューを読むと、このブランドを成功させるために、ランジェリーのプロによるチームを組んだといいます。運営するハートリレーションの代表取締役CCO(Chief Creative Officer)である経営者としての目線、美意識を追求するディレクターとしての目線、このブランドからは、その両方を兼ね備えた小嶋さんのプロデュース力を感じます。

ROSIER by Her lip to 公式サイト
https://rosier-by-hlt.jp/

La siréne | 日常を豊かに彩ってくれるデイリーランジェリー

カロル 3/4カップブラ¥17,600/ラ・シレーヌ

9月にデビューとなる2023年コレクションの先行受注会を代官山と大阪で開催した「La siréne」。ファッションを学び、ランジェリーブランドでキャリアを積んだ、吉持玲沙さんによるブランドです。「La siréne」とは、フランス語で人魚の意味。「人魚の鱗のように、しなやかなからだに馴染む美しいランジェリーを着てもらえること」がコンセプトです。そこには、「洋服を選ぶ感覚で、気分に合ったランジェリーを選んでもらいたい」との想いが込められています。

リゼット 3/4カップブラ¥12,100スタンダードショーツ¥4,620/ラ・シレーヌ

一つ一つに名前が付けられたファーストコレクションに並ぶのは、艶やかなシルクや繊細なリバーレースなどの上質な素材や、ドット柄チュール、オリジナルのプリント柄のブラジャーとショーツ。その優雅さが魅力のリバーレースも花モチーフではなく線画のボタニカル柄だったり、プリントもシックなアート的表現だったり、ちょっとひねりの利いた表現。デイリーに着られるけれど、いつもとはちょっと違う特別な気持ちになれる、そんなランジェリーです。

La siréne 公式サイト
https://lasirene-official.com

The DUNE | ファッションとランジェリーの狭間を楽しむ

Lace bustire bodysuit ¥50,600/The DUNE

こちらも9月に初の展示会を開催した「The DUNE」。長年、ファッション業界でPRとして活躍されている清水麻妃さんによる、ボディスーツにフォーカスしたブランドです。
清水さん自身が長年ボディスーツの愛用者で、「スタイリッシュで利便性を兼ね備えたボディスーツは、忙しく暮らす現代女性のスタイリングにこそ着てもらいたい」との想いからスタートしました。ファーストコレクションは、ボディスーツ3型のほかにレースのレギンスやシルクジャージのショーツなどの展開も。ランジェリーブランドというより、ランジェリーとファッションの間のカテゴリー、その狭間を楽しむブランドという表現がふさわしいでしょう。

Lace leggings ¥31,900/The DUNE

レースの美しさを活かしたビスチェのように着用できるデザインや、肌に心地いいシルクジャージィ使い、イタリア製のコットンテレコを用いたロンパースなど、ボディスーツといってもスタイルは様々。日本人の体型に合わせて、お尻を包み込むシルエットにするなどの細やかな配慮も。ファッションを知り尽くす清水さんならではのセンスで、インナーとしてもトップスとしても着こなすことができるボディスーツがラインアップします。

The DUNE 公式サイト
https://thedune.official.ec

LILY BROWN Lingerie | 人気ブランドのランジェリーライン

アンダードレスブラ ¥6,490レギュラーショーツ¥3,190/リリー ブラウン ランジェリー

数々の人気ブランドを展開するマッシュスタイルラボの「LILY BROWN」から4月にリリースされたランジェリーライン。マッシュスタイルラボのブランドでは、これまでも「gelato pique」や「SNIDEL HOME」などでノンワイヤーブラやキャミソールなどを展開していたものの、ワイヤーブラを発売するのは初めて。アパレルラインの”Vintage Feature Dress”のコンセプトはそのまま、“FEEL ELEGANCE FEEL VINTAGE”をキーワードにヴィンテージの魅力である繊細なレースやディテールデザインを特長とします。

ブラレット×ショーツセット ¥5,390/リー ブラウン ランジェリー

現在は、「LILY BROWN」のショップ内や公式オンラインストアで販売されており、アパレルと連動したデザインだったり、服を美しく見せるためのブラジャーだったり、ファッションブランドならではの提案が光ります。
ホリデーシーズンには「gelato pique」とのコラボでカーディガンとブラ&ショーツのセットを詰めたスペシャルホリデーBOXを発売したり、ボディオイルを発売したりなど新しい試みも。これからの展開がさらに楽しみです。

LILY BROWN Lingerie 公式サイト
https://lily-brw.com/lingerie

ORAN | オーガニックコットンを使ったコンフォータブルアンダーウェア

アニブラ(スタウト)¥9,000/オラン

ブランド設立は2021年なのですが、2022年10月に開催された合同展「rooms」で初めて出合い、印象に残ったブランド「ORAN」。コンセプトは「枠に捉われず、強く開放的に毎日を生きる人達に贈るコンフォータブルアンダーウェア」。オーガニックコットンを使い、染色や縫製は全て日本国内で行っていて、ブランド存続が社会貢献となる活動であるよう、公正な製品作りを心掛けるブランドです。

リタブラレット¥8,000/オラン

デザインは、国やシーン、シーズンに縛られることなく、様々なライフスタイルに合わせられる、余計な飾りを省いたベーシックスタイル。カラフルなカラーはトーンが統一されているため、ブラとショーツの色を自由に選んでミックス&マッチが楽しめるのもポイントです。メイド・イン・ジャパンでありつつも、その佇まいにはインターナショナルな空気感が漂います。

ORAN 公式サイト
https://www.oranjapan.com/ja

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川原 好恵

ライター・エディター。文化服装学院卒業後、流通業界で販売促進、広報、店舗開発を約10年経験した後、フリーランスとして独立。下着通販カタログの商品企画などを経て、現在はランジェリーを中心に、雑誌、新聞、ファッションウェブサイトなどで執筆・編集を行うほか、服飾専門学校などで講師を務める。

Instagram : @yoshiekawahara

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