Lingerine ショップ&ブランド2024年のランジェリーはどうなる?  5つのトレンドキーワードを徹底解説

5月に新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類に移行したのをきっかけに、世の中のムードが大きく変化した2023年。華やかなファッションやメイクで、外出する機会も一気に増えました。
ランジェリーもリラックスブラが人気だった時代は終わりを告げ、ファッションの一部として楽しめるもの、気分が華やぐものを求める声が聞かれます。それには、ファッションの変化も大きく影響しているよう。シアー素材のウェアが人気アイテムとなり、最近はネイキッドドレスをレッドカーペットで着用するセレブリティのスナップを見かけることも多くなりました。

ランジェリーショップ「MOOL」とジェンダーレスブランド「DRESSEDUNDRESSED」によるイベントで、ネイキッドドレスや肌見せランジェリーを着こなす「MOOL」スタッフの皆さん(MOOL)

さすがにネイキッドドレスは特別なシーンに限定されるかもしれませんが、シアーなトップスの下に見せブラやブラトップを合わせるコーディネートはすっかり定着。ランジェリーとウェアのボーターレス化はますます進み、今や下着なのか服なのかを分類するのさえ、不粋に感じることもあるほどです。
2024年春夏のバリコレやミラノコレのランウェイを見ていても、シアー素材やブラトップは継続してキーアイテムにあげられるし、センシュアルなランジェリールックやコルセット風デザインも目につきます。

フランスブランド「Aubade」と「Luz」とのコラボによるブランド初のアスレジャーラインは、大人の肌見せファッションに相応しいシャープなデザイン(Aubade)

ヘルシーな肌見せファッションが今後も継続し、さらに拡大すれば、ランジェリーはもっと自由に、もっと大胆に、もっと楽しくなる! というのが私の予想。さらには、ランジェリーのバリエーションが増え、選択肢が増えることを願っています。なぜなら選択肢が増えれば、自分のからだにもマインドにもフィットするお気に入りの一枚を見つけやすくなるから。肌見せファッションだって、年齢に関係なく楽しめるようになりそうです。いよいよスタートした2024年は少し勇気を出して一歩踏み出し、新たなランジェリーファッションに挑戦してみてはいかがですか?

<参考資料>
『藤岡篤子2024年春夏4都市ファッション・トレンド速報セミナー FASHION TREND BOOK』
『WWD 2024年春夏トレンド完全版 TREND BOOK』

ランジェリー新作から見えてきた5つのトレンドキーワード

国内外下着ブランドの2024年春夏展示会を周り、見えてきた5つのトレンドキーワードをご紹介します。下着の流行はファッションのトレンドや女性のマインドとリンクするものですが、今年はその傾向がさらに強いようです。

▪️シアートップスをさらに楽しむ注目アイテム「進化系ブラトップ」

「Aubade」2024年春夏の新作 “アイコニック・フリュール”。サテンビスチェはワイヤー入りで美ラインに(Aubade.jp)

シアートップスの下にはシンブルなブラキャミやブラタンクをコーディネートすることが多いけれど、ランジェリー通やおしゃれ好きの中には、もはやそれで満足できない人も。そんな想いに応えるように登場したのが、「Aubade」のサテンビスチェです。まるでコルセットのようなデザインで、ワイヤー入りなのでバストメイク力もしっかり備えています。スクエアのネックラインと深いVカットがデコルテとバストを官能的に。背中は編み上げのクラシカルスタイルです。

「Chiyono Anne」の “EYE” コレクションは他にボディスーツやブラレットなど、肌見せコーデに活躍するアイテムが豊富(chiyono-anne.com)

ビスポークランジェリーブランド「Chiyono Anne」の “EYE” コレクションにも、ブラトップとして着られる独創性溢れるアイテムが登場。ひとつは繊細なレースにブラを合体させた “T Shirts Bra”、もうひとつはデコルテにたっぷりレースをあしらった “Halter Neck Bra”。
「Chiyono Anne」による、ランジェリー×ファッションの新しい提案です。

▪️エッジのきいたデザインとコーデで魅せる「攻めの肌見せランジェリー」

2022年秋にデビューした「Kiff Lingerie」。パンツスーツとのコーディネートが、ランジェリーのセンシュアルなムードを引き立てます(kiff.official)

ヘルシーな肌見せファッションが広がる中、エッジのきいたデザイナーズブランドからは、攻めたデザインのランジェリーが数々登場しています。魅せることを前提とするかのようなデザインは、もはやランジェリーでもウェアでもアクセサリーでもない新しいカテゴリーと言えそう。
そのひとつが「Kiff Lingerie」の新作。ストラップのデザインをきかせたトライアングルブラ&タンガにハーネスをプラスしたコーディネートは、シャープなカッティングとモノトーンカラー、葉脈柄レースのバランスが見事です。

計算されたカッティングのブラ、ショーツ、ボディスーツを重ね、独創的なランジェリーコーデを創り上げた「YUVI KAWANO」(yuvi.thebase.in)

「YUVI KAWANO」のボディスーツはバストの下までの深いVカット&ハイレグ。同素材のブラとショーツを合わせたコーディネートは、シャープなカッティングと肌とのコントラストが相乗効果となって、スタイリッシュかつセンシュアル。 「KIFF Lingerie」も「YUVI KAWANO」共に、セクシーさは溢れつつも媚びが存在しないデザインが、現代のムードと若きデザイナーの感性を反映しています。

▪️いよいよ日本でも本格定着の兆し「ファッションボディスーツ」

ボディスーツもファッションアイテムのひとつとして取り入れれば、おしゃれの幅も広がりそう。
左 /(ANNEBRA)
右 /(Intimissimi)

ヨーロッパではずっと前からスタンダードアイテムだけれど、なかなか日本に根付かなかったのがボディスーツ。2023年秋冬コレクションでヨーロッパブランドがアイテムを拡大し、日本でもボディスーツを展開するブランドがかなり増えました。そしていよいよ2024年春は、新作にボディスーツをラインナップする日本の大手メーカーも。
実はウエストまわりがもたつかないなど、便利なボディスーツ。一度着れば、その機能性にも納得できるので、アイテム増を機に、遂に日本でも定番アイテムの仲間入りしそうな予感。「Intimissimi」や「ANNEBRA」では、デザインバリエーションも豊富なので、ボディスーツビギナーには選びやすくおすすめです。

▪️シャーブな柄でモードな雰囲気を楽しむ「ジオメトリックレース」

「L’ANGÉLIQUE」2024春夏、穴を意味する “BUCHI“ コレクション。レースにはリサイクルナイロン糸が使われています(langelique.co.jp)

ランジェリーとウェアのボーダーレス化が進む中、レースの柄にも変化の気配が。ランジェリーのレースと言えば、花柄がポピュラーだけれど、2024年春夏展示会を見て回る中で新鮮に映ったのは、チェックやブロック調のジオメトリックレース。甘さは抑えつつも、そこにはレースならではの優しいムードが漂っています。
「L’ANGÉLIQUE」の新作には、ローゲージニット風のユニークなレースがラインナップ。
ストラップレスにできるバンドゥブラや、カップ付きキャミソール、フレアパンツなどシアー素材のウェアとも相性抜群のアイテムが並んでいました。

「La siréne」の白ランジェリーは、チェックの縁にレースをあしらい、カップ下には小さなリボンをプラスしてアクセントに(@la_sirene_official

「La siréne」では、ギンガムチェックのシリーズが。清潔感や可愛らしさもありつつ、シンプルな柄だからこそ出せる大人の雰囲気も。新たな白ランジェリーの魅力を伝えるコレクションになっています。
ジオメトリック柄のレースは、花柄のレースに比べて下着の生々しさがなく、見せランジェリーとしても活用しやすいのがポイント。いろんな着こなしが楽しめそうです。

▪️色とりどりの花が咲き乱れる「フラワーブーケ エンブロイダリー」

「Nette Rose」のアイコンでもある、色とりどりの花をモチーフにしたエンブロイダリーレースのランジェリー(bby-tokyo.com)

フリルやリボンなどの装飾は控えめになった印象の一方、増えていたのが、まるで色とりどりの花をちりばめたようなレース柄。それはまるで、フラワーブーケをからだにまとったよう。
このトレンドを象徴する存在が、南アフリカ発のブランド「Nette Rose」。大きさも色も異なるカラフルな花をモチーフにしたエンブロイダリーレースやアップリケは、アート作品みたいです。花がいっぱいでも決して子どもっぽくならないのが、「Nette Rose」ならではの手腕です。

多色使いの花モチーフレースも、色のコントラストで全く違う表情に。
左/(CHASNEY BEAUTY) 
右/(Passionata)

多色使いのレースは、バストメイクブラで知られるオーストラリアブランド「CHASNEY BEAUTY」の新作にも。こちらは、色とりどりでもブラウン系やブルー系などの花でシックに。フランスブランド「Passionata」はステッチ風の刺繍の小花モチーフに、格子柄刺繍を縁にあしらって大人っぽく。いずれもゴージャスだったり、トゥーマッチなエレガントではなく、抜け感のある軽やかなファッション性がカギのようです。

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川原 好恵

ライター・エディター。文化服装学院卒業後、流通業界で販売促進、広報、店舗開発を約10年経験した後、フリーランスとして独立。下着通販カタログの商品企画などを経て、現在はランジェリーを中心に、雑誌、新聞、ファッションウェブサイトなどで執筆・編集を行うほか、服飾専門学校などで講師を務める。

Instagram : @yoshiekawahara

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