Lingerine ショップ&ブランド[ 前編 ] pipi_ttaphanデザイナーに聞く、飾ることから解放された大人のランジェリー

【国内ランジェリーブランドレポート Vol.1 pipi_ttaphan – ピピッタパン】 <前編>

大人の女性のライフスタイルに溶け込むような、気軽さと快適さを与えてくれる素敵なランジェリーブランドpipi_ttaphan ピピッタパン デザイナーの伊津野さんにインタビューをさせていただきました。今回ブランドについて、またランジェリー愛溢れる伊津野さん自身についてもお話を沢山うかがうことが出来ました。
前編と後編に分けてお届けしたいと思います。

 

―  『pipi_ttaphan ピピッタパン』を立ち上げた背景を教えていただけますか?

私、大学生の時にランジェリーが好きになったのですが、コレクターとして好きな一方で、ランジェリーを制作することにも興味があったんです。 「これはどう作るのだろう?」 とよく考えていて、そのうち職人に憧れるようになり、技術職に就きたいと考えるようになりました。

でも技術や知識もないしとても悩んだ中、ランジェリーをつくる為には女性の体を沢山見て勉強をして、的確なアドバイスが出来るようになることが第一歩なのではないかと思うようになり、先ずはアドバイザーを目指しました。それから、ランジェリーメーカーやインポートランジェリーショップのアドバイザーとして働き、最後に働かせていただいたランジェリーショップのオーナーさんが私の趣味で制作したランジェリーを気に入ってくれたんです。

そして、 「いいじゃない」 「並べてみたら?」 と言ってくださって、店頭に置いてもらうことが出来ました。
数々の名門ランジェリーのとなりに手作りの自分のランジェリーを置いて貰えるのは、恐れ多かったのですが本当に嬉しかったです。

アドバイザーの仕事もあっていたみたいで、とても楽しかったですし、気がつくと長い期間働いていて自信もつき、技術職ではなくこのままアドバイザーの道もありなのかな…と考えたんですけど、でも迷いつつもやっぱり作りたいという気持ちが強くて、何もわからないまま自分でランジェリーを縫い始め、店頭で販売することができた。それが、企業の技術職に就くのでも、アドバイザーとして働き続けるのでもなく、ブランドを立ち上げる気持ちを大きくした1番のきっかけですね。

―  立ち上げてから販売までとてもスムーズに感じますが、大変だったことはありましたか?

ありますね… いざランジェリーを縫い始めたら自分の力ではどうにもならないなと思う部分もあって、アドバイザーとして働きながら夜間の学校に通うことにしました。ただ通っていたのは夜間の服飾系の学校なので、ランジェリーを直に学べるものではなかったんですね。

服のパターン、縫製を学ぶ事は出来たけど、洋服とランジェリーは全く別物なので、ランジェリーの制作は、ほぼ独学でした。制作をしていると学校で学んだことだけでは足りないと感じる部分があったので、次にランジェリーのサンプルを制作する会社でお手伝いをさせてもらいました。

なかなか丁寧に教えてもらうことは出来なかったんですが、とにかく必死に見て実践して覚えました。そこでランジェリーのパターンを引けるようになっていったと思います。お手伝いをさせてもらい分かったことですが、作図も学校で学んだものとは全然違っていていました。

基本の型というものがなく、作図についても決まった形がない…どう言ったらいいか…
トライ&エラーの繰り返しで、ざっくりした基準点みたいなのはあるけど、そこのポイント以外の自由度が非常に高く、その通りに作っても実際に身体に綺麗に合うとは限らない、サンプルを何回も作って修正してやっとこのライン!とわかるようになってくる、本当に凄く地道な作業で大変ですが、それをずっと繰り返すこれを実践的にやっていた感じです。

他にも工場を決めるまでもとても大変でした…
相性の良い工場さんや職人さんと出会うことはとても難しいと今でも感じていますが、職人さんとのコミュニケーションもトライアンドエラーを繰り返しました。それでやっと力になりたいと言ってくださる工場さんを見つけることができた感じです。

 

―  1つ制作するのにかなり時間はかかりますか?

私は自分でサンプルを縫うので工場さんに出す直前までの段階は比較的早いと思います。ポンって出来上がっていってしまう物もあれば、沼に入ると…2・3ヶ月くらいかかる場合もあります。
フェイクスエード素材のランジェリーは袋縫いの工程がとにかく大変で…工場によっては受けてくれない所もあってこれは時間がかかりました。

 

― 1番最初に作ったものはどんなものでしたか?

個人的な趣味で作ったランジェリーですね。ピピッタパンの試作品になるような作品で、ブランドを立ち上げるきっかけにも繋がっています。でも、今作っているものとはイメージはかなり違うリゾートっぽい感じのランジェリーです。働きながら商品を作り始めて、実際に本格的な商品化をするために制作した第1号は “skin” のインナーシリーズです。

「1日中寝るときまで身につけたいコンフォータブルライン」
skin は心地良さの伝達」がテーマです。

1番最初に作る商品はいつも応援してくれる身近な人、両親、パートナー、友人に届けたいと思っていました。その思いからskinを作り初めて、プレゼントしたら実際にも喜んでもらえるものになり、本当に嬉しかったです。
それと、 skin を店頭に並べた時もお客様の層にあっていたようで反応がとても良かったです。

― ブランドに対する思いや大切にしている所はどんなことですか?

1つは大人の女性のライフスタイルに溶け込むような、無理をせずラフにランジェリーを楽しめるそんなブランドにしたいと思っています。

これは私の過去の経験からくることで…
大学生の時にランジェリーを好きになってから、ランジェリーの魅力でもありますが、繊細なレースや装飾に女っぽさが溢れるランジェリーを身につける事に凄くこだわるようになっていたんです。きれいなランジェリーに包まれているということに高揚感を感じていて 「ヒールを履いてカツカツみたな…」 いい女!美しいランジェリーに見合う自分になりたい!理想の自分を目指したい!と思いが強くなり過ぎてしまったんです…

ランジェリーって自信に繋がる凄くいい面があると思っています。でも、その反面ちょっと大袈裟かもしれないけど、身に着ける自分に対しても理想を高く持っちゃたりとか、そういう部分もあると思うんです。

当時の私は、ランジェリーによって意識や行動まで変わっていました。そんな自分になんだか疲れてきてしまい、気を張り続けているな…もっと自分を信じて素直に生きたいと思うようになりました。その頃ライフスタイルや人付き合いにも変化があって、変化が訪れてからそういうキレイ目なランジェリーがリアルな自分にはフィットしないなと思えてきたんです。違和感がありました。こういうのにこだわらなくていいなって思うようになり、もっとラフにランジェリーを楽しみたいなって思うようになったんです。

ランジェリーの為の自分ではなく、自分の為に心地よくなじむこと。大人の女性のライフスタイルに溶け込むようなかっこいいランジェリーがあったらいいなと感じて。私のように思っている女性はいるのではないかな?誰しもどこかでそういう時期を経験することがあるんじゃないかな?と思うんですよね。
そして、同じような気持を持った女性達に届けたいなと思い、少し肩の力を抜いたランジェリーを作りたいと思うようになりました。

こういった経緯がありpipiのランジェリーは大人の女性たちをラグジュアリーに飾ることではなく、その方の魅力に溶け込むことを前提にしています。カッティングと素材のコントラストを生かして美しくミニマルなデザインに削ぎ落とすことで、解放され、よりクリアになった女性を表現します。
それと、もう1つは他にはないポイントかなと思うんですけど、アクティブなシーンでも使えるランジェリーでありたいと思っています。

ノンワイヤーブラの多くは、リラックスできることを重視するために全体的な安定感が弱い華奢な作りだったり、動いた時に心もとないものもあって、さらに素材が繊細過ぎるとデイリーに使いづらく、外遊びにあまり向かないですよね。私自身、旅行とかアウトドアとか音楽イベントに行くのが好きで、よく動くときこそノンワイヤーで出かけたいと思うんです。

なので、解放されて楽しめるようにと、アクティブシーンでも使える安定感と快適さ、それと洗濯などのケアのしやすさを考えて素材選びとパターンを作っています。耐久性も考えてあるので、旅行先で汗をかいたらその場で洗えるくらいの感覚で気軽に使っていただけたら嬉しいです。

 

― この時期におすすめのものはありますか?

オススメは Soothing Breeze to Summer のアイテムです。
イメージは夏に向かうワクワクする気持ちを表現したシリーズで、心地よい風を感じて心躍る感覚みたいな、コロナでやっと活動出来るようになってはきたけど、束の間でも夏を感じるランジェリーを着けて、楽しんでいただきたいなと思い制作をしました。

夏場のファッションは肩まわりや背中を開けていらっしゃる人も多いですし、肌見せを思いきり楽しめるのは夏ならでは、なのかなと思うんです。今迄の商品も全て見せてもらって大丈夫なようには作ってはいるんですけど、今回はとくに夏のお洋服に合わせられるように、配慮しています。

Leopard Triangle Bra は背中見せ重視、ストラップもクロスに変えられるのと、ハーフトップじゃないけど、着るとキャミソールの上の部分みたいになっていて、露出し過ぎを防げます。それと、背中見せファッションでも、大人の女性でそこまで大胆に肌を見せる人は少ないのかなと思うんですね。肌見せに抵抗のある方でもトライしやすく、幅広にして形をスタイリッシュにすることによって、背中の開いたワンピースからチラッと見えても素敵なデザインにしています。

もう1つの Sheer Mesh Bra は背中見せというよりは肩紐見せと、動きやすい形を重視していて、背中をU字の設計にしています。U字はアクティブに動きやすく、中心に肩紐が寄っていてストラップがずり落ちにくくなります。それと、背中部分が真っ直ぐなタイプのブラジャーに比べると安定感があり、かかる力が内側に分散してブラジャーが体の動きについてくるんです。肩甲骨あたりを動かしてもずれにくいので、アクティブ系のウエアでもU字のタイプはよく使われています。それと、通気性と速乾性が高いので夏場の蒸れ対策としてもおすすめです。

福岡の番組で Sheer Mesh Bra を取り上げて頂いたことがあって、汗&蒸れの悩みを解消する夏場のブラジャーをテーマにした内容だったんですけど、番組放送後直ぐに沢山の問い合わせがありました。暑い日はやっぱりさらりとした薄手のランジェリーで過ごしたいですよね。
Soothinng breeze to summer のアイテムは見た目も涼しげで、ファッションにも合わせやすいですが、実際につけても通気性が良く速乾性も高い、機能面でも優れているので夏場は特にオススメのアイテムですね。

あと、立ち上げ当初からアフターケアの一環としてランジェリーリペアもやっていて、例えば…お持ち込みのノンパテのランジェリーにあてに布をつけてほしいという連絡が多かったんです。そういったリペアを通していろいろ学ぶことも多くpipiの商品づくりにも活かしています。元々は、パットを入れなくてもいいと思っていて、自身の胸をパット入れなくてもきれいでナチュラルに見せることがかっこいいよ! それでいいんだよ! というスタイルにして、販売をしていました。

でもパッドを入れないと使えないという声も多くて、パッドうけは必ずどのブラジャーでも付けて、パッドが必要でしたら別売りで購入してくださいというやり方に変更をしました。そのままでカッコいいけど、デイリーなランジェリーの条件として日本ではトップが透けないようにパッドとか目隠しになるものは必須だなと感じましたね。

リペアなどドメスティックの小さなブランドだからこそできることを積み重ねて、お客様の声を取り入れて進化していきブランドを育てたいと思っています。

― 後編に続く…

 

【pipi_ttaphan POP UP SHOPのお知らせ】

3日間限定 TOKYO POP UP SHOPを開催いたします。当日は販売中の商品のご試着やリペアのご相談が可能です。お気軽にお問い合わせ、ご来店ください。
また、開催中は同時にオンラインでの受注や各種ご案内も行う予定です。

2020/7/23 (THU) ~ 7/25 (SAT)
at novore (Shibuya)
東京都渋谷区桜丘町17-9-403

開催時間、当日の詳細等についてはpipi_ttaphan ピピッタパンHPにて改めてお知らせいたします。
Instagramでは随時最新情報をお知らせしております。

 

【今回ご紹介したアイテム】

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Reika

飲んだくれていた日々から一転、健康を意識しだした今日この頃。女性の体型とライフスタイルは変われども、美容と健康は永遠のテーマ・・・ライフイベントに合わせたランジェリーライフを楽しんでます♡

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