Lingerine ショップ&ブランド「乳がんでも美しさを諦めない女性の勝負下着」- 堂々と胸を張って生きる - 乳がん専門ブラジャー「La neige(ラネイジュ)」

【国内ランジェリーブランドレポート Vol.10 – La neige(ラネイジュ)】

毎年10月はピンクリボン月間。乳がんは、日本人女性がかかる割合(罹患率)ががんの中で最も高く、年々増加しています。毎年9万人以上が新たにかかるといわれており、生涯で乳がんにかかる割合は9人に1人となります。※1 決して他人事ではないのです。
乳がん手術を受けた後、ことにブラジャー選びはとても難しい問題でしょう。「一体どのようなブラをつけたら良いのだろう?」と。そして、「病気をする前につけていたような可愛いらしいランジェリーが無い」ということはメンタルにも大きく影響を及ぼしてしまいます。
今回は、「乳がんでも美しさを諦めない女性の勝負下着」として、一般的に販売されているブラジャーに全く見劣りしない、ブレストケアには珍しいワイヤー装着のブレストケアブラ「La neige(ラネイジュ)」を立ち上げた、デザイナーの竹内香織さんに、ブランド立ち上げの背景から、身体に負担なく美しいラインを描くための商品開発へのこだわり、ブラに関するお悩みの解決方法、乳がん治療を頑張ってきたサバイバー女性へのメッセージまで、大切なお話を沢山お伺いしました。
※1 引用元:ピンクリボンフェスティバル 

 

―ブランド立ち上げの背景、ブランドに込めた思いについて教えてください。

La neige(ラネイジュ)は、2018年に親友が炎症性乳がんに罹患した際に、彼女のために術後の美しい下着を探したことをきっかけに立ち上げました。
実は私自身がそこから遡ること10年前に悪性葉状腫瘍で左胸を一部切除しており、入院時に看護師さんから渡された「乳がんの方へ」という冊子の中のランジェリーカタログをみた際に、何よりも悔しい思いをしたのが乳がん術後下着のラインナップの乏しさだったのです。生きるために乳房を切除するという選択をしたのに、術後のブラジャーは「私、一生乳がんです」と主張するようなデザイン・・・色はベージュや淡いピンクで形は野暮ったく、術後の痛みには優しいけれど、術後の人生を美しく生きるためのものではありませんでした。
親友が炎症性乳がんに罹患した際に、私のように術後の下着で悔しい思いは絶対させたくなくて、彼女が乳がんを克服しその後の人生を術前と同じように美しく生きるためのブラジャーをプレゼントしようと思い立ったのですが、10年経過しているのに私が納得できるものは販売されておらず、“無いなら私が作ろうじゃないの! ”と立ち上げたのがLa neige(ラネイジュ)です。

La neige(ラネイジュ)のブラジャーは、術後の痛みに特化したものではなく、術後の長い人生を術前と同じように、それ以上に美しく胸を張って生きられるようにと、素材・美しさはもちろんのこと、お客様がお洋服を身に纏った際に美しいラインがでるように、お洋服で胸を隠すのではなく胸を張って歩けるように徹底的にこだわって制作しております。

ricca(リッカ)ブラック A-Dカップ
ricca(リッカ)ブラック E-Hカップ

―ご経験をされたからこその真剣な想いが伝わってきます。 お客様からよくいただくお悩みはどのようなことがありますか?

お問合せをくださるお客様のお悩みはそれぞれですが、「乳がん患者はワイヤーがあるブラジャーはダメだと言われて、SNSでこれがいいという情報があったので着けているのですが、残った方の胸が下がってしまって・・・」というお悩みは本当によく伺います。
“乳がん患者にワイヤーブラジャーがダメ” というガイドラインなど実際には存在しないのですが、術後すぐは痛みが出る方がほとんどで、主治医が傷の痛みを考慮して「ワイヤーブラジャーではなく緩めのものをつけてね」と言われたことを、 “一生ワイヤーブラジャーはダメ! ” と言われたかのように思われる方が多いのかもしれませんね。

halmii(シャルミー) オレンジ B-Dカップ
shalmii(シャルミー) オレンジ E-Fカップ

―どのようにブラ選びのお悩みを解決されているのでしょうか?

まずはお悩みを聞かせていただいた上で、気になる商品があれば全てお送りしてご試着していただいています。もちろん、購入されないようであれば全てご返品は可能です。
SNSで情報を得て術後のブラジャーを購入されるお気持ち、私もサバイバーとして良くわかるのですが、胸の形状は100人いれば100通り。SNSで情報を寄せた人とその情報を受け取る人の胸の形状が違えば、満足度も全く変わってきます。

「私は胸が片方ないから仕方ない」「これしかないから、これでいい」これ “で” いい・・・私はこの “で” が本当に嫌なのです。
なので、ネットショップではございますがご不安なお客様には気になる商品をご試着いただき「これ “が” いい」と仰っていただける場合はご購入いただく、そんな販売方法をとっております。

 

―実際に試着して、納得の上選べるのはとても安心感がありますね!
開発の中で一番力を入れたこと、苦労したことについて教えてください。どのようにして今のブラジャーにたどりついたのでしょうか?

まず私自身が親友にプレゼントしたかった物が「術後の長い人生を美しく生きるためのブラ」だったので、術後の数ヶ月の痛みに対して気遣われたブラジャーは、他メーカーさんにお任せすることにしました。既にたくさん販売されていたからです。 その上で残った胸を美しく整え、失った胸を補うことができる、見た目もラインも美しいブラジャーに重きを置いて制作しました。 勿論、当時はタブー視されていたワイヤーを施したブラジャー2種類から制作を開始し、自身や親友の試着を挟んで何度も調整し、最終段階でお客様3名をランダムに選び、最終判断をしていただいた上で商品化するというスタンスをとっています。

shalmii(シャルミー) ライトブルー B-Dカップ
shalmii(シャルミー) ライトブルー E-Fカップ

そのため、新商品が出来上がるまでには1年以上の制作期間が必要ですが、現在はワイヤーブラ2種(shalmii(シャルミー)・rucil(ルシル))、ノンワイヤーブラ2種(ricca(リッカ)・tinaful(チナフル))を展開しております。

―タブーを超えて行かれたからこそ、お客様に喜んでもらえるブラが誕生したんですね。中でもおすすめの商品はどれでしょうか?

おすすめは、大きな胸を小さくコンパクトに整える乳がん用ブラジャー rucil(ルシル)です。

rucil(ルシル) ブルー E-Fカップ
rucil(ルシル) ブルー G-Hカップ

乳がんサバイバーさんの中でも、大きな胸の方が全摘手術をした際の術後ブラジャー選びは本当に大変なものです。片方の胸は全くない状態で片方は豊かな胸が残っている・・・術後の痛みに優しいホールド感の無いブラジャーは、大きな胸の方にとってはしていないにも等しい状況でした。

通常ブラジャー着用モデルのバストライン → ルシル着用モデルのバストライン

rucil(ルシル)は、そんな大きな胸のサバイバーさんの残った胸をワイヤー内蔵のブラジャーでしっかり面でホールドしコンパクトなラインに整え、無い方の胸にパッドを入れて調整する、そんな今までには無かった乳がん専門ブラジャーです。

―今後の新たな商品展開等の予定はありますか?

今年の6月に発売となったtinaful(チナフル)は、昨年クラウドファンディングで制作資金を募り出来上がった、私がラネイジュ立ち上げ直後からずっと手がけたいと思っていた「乳がん手術で腕の可動域が小さくなってしまった方の前開きブラジャー」です。
乳がんで患部を大きく切除することによって、腕が後ろに回らずにブラジャーを着けることにお困りのお客様が大勢いらっしゃることを知り、どうしても手掛けたかったのですが、前開きのブラジャーには色々と制約があり、美しい物となるとなかなか実現することができなかったのです。

こちらのチナフルは、まず胸元に誂えるレースをイギリス発祥のレースの女王と称される、「リバーレース」にいたしました。また、採用した色はスタイリストでもあるお友達の浅浦千夏さんが流行色も踏まえて考えた「ボルドーピンク」で染め上げて、美しさと可愛らしさ、そして艶感を出すことで、足元から履き上げて前ホックで留めるデザインのそっけなさをカバーしました。
発売以来、本当にたくさんの乳がんサバイバーさんにお求めいただいている人気商品です。

tinaful(チナフル) ボルドーピンク S-Lサイズ
tinaful(チナフル) ボルドーピンク LL-3Lサイズ

また、ラネイジュでは乳がんサバイバーさんが手掛けた胸パッドや脇パッド、抗がん剤治療中の脱毛期間中を快適に過ごして頂くためのターバンタイプのケア帽子、そして温泉好きな乳がんサバイバーさんのための使い切り入浴着なども販売しております。

―リバーレースも美しいボルドーカラーも、術後のメンタルの底上げのサポートとなってくれそうですね。他にはないデザインです。
最後に、読者様、乳がんサバイバーの方へのメッセージをお願い致します。

乳がんサバイバーさんにおかれましては、突然乳がんと告知され、普通の暮らしから急に「死」を意識させられて、本当にここまで大変でいらっしゃいましたね。きっと誰にも想像も出来ないくらい頑張ってこられたことと思います。
乳がんは現在9人に1人が罹患する女性の罹患率1位のがんです。ですが、死亡率は4位、つまり早期発見で正しく治療すれば完治が期待できる病気です。
ただ、治療には乳房全摘だったり乳房部分切除をすることも多いのが現状です。
中には手術だけではなく、全身治療のために投薬治療を余儀なくされる方も大勢いらっしゃいます。生きるために辛い治療を選択したのに、治療が進むにつれ「もう片胸がないのだから私はこれでいい」「生きていられるだけでいい」と望みが小さくなっていかれる方もいらっしゃるかと思いますが、治療後の人生は長いのです。考え方一つで、術前以上に美しくなることも可能です。
一度きりの人生、生きるために尊い選択をされた貴女が美しく凛と胸を張って生きていかれるように、La neige(ラネイジュ)にお手伝いさせていただければ幸いです。

そして乳がんサバイバーさんでは無くともここまでお読みくださった方には何よりも、どうぞ他人事と思わずに乳がん検診にお出かけいただければと存じます。
ここまでお読みくださりありがとうございました。

「La neige(ラネイジュ)」

OFFICIAL SITE
shop-laneige.com

INSTAGRAM
@laneige345

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Mayo

ランジェリー大好き。Lingerine第1号です。ファッション、美容、ワインも好きです。よろしくお願いします。

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