【国内ランジェリーブランドレポート Vol.6 – Lingerie Art ランジェリーアート】
「じぶんを生きるランジェリー」をコンセプトに、オーダーランジェリーで自分自身をデザインし最上級の特別感を味わえるブランド『Lingerie art』。セミオーダー、コレクション(既製品)も加わり、より自身を表現する楽しみと世界観が広がっているブランドです。
デザイナーであり代表の小柴麻梨さんにブランド立ち上げの経緯から、女性として母としてのライフスタイルまで、自分をありのまま表現していくこれからの女性の生き方に寄り添う素敵なお話をたくさん伺いました。
― ブランド立ち上げの経緯を教えてください。
ランジェリーはもともと好きで、25歳から漠然とランジェリーのお仕事をしたいと思っていました。20代は自分の軸がなくてフワフワしていて、何かやりたいなと思いつつも始められていなかったんです。
充実はしていたけれども、自分の芯というか核となる部分に確固たる自信が持ててなかったです。不満や疑問をもっていたところに、好きなランジェリーを着ていると自分の在り方が表現できることに気づきました。自己表現できることへの心地良さを感じ、「ランジェリーは心を彩る存在なのだ」と。
この思いを共有したいと思ったことがブランドを立ち上げるきっかけでした。
― ランジェリーが小柴さんに自信を与えてくれたというか、そこに気づく瞬間や出来事があったのでしょうか?
ランジェリーだけは誰にも見られないから、好きなものを着られるという心的に開放される部分が大きかったです。
やっぱり外見から印象を与えることって多くて・・・私は身長が小さくて小柄なところがコンプレックスだったんです。大人っぽくなりたいけれど、そういった服が似合わないし、キャラクター的にもそういうタイプではないので見た目で勝負できないと思っていて・・・。
勝負なんてする必要なんてないのだけれど、20代の時は周りとの比較が強くてそこから抜け出したいと思っていました。
そんな中でランジェリーだけは、どんなものを着ていても誰にも文句も言われないし、楽しくて自分の中でランジェリーはお守りみたいな存在になっていました。
何か大きな出来事がバンッとあったわけではなく、そういった積み重ねがちょこちょこ重なって自分の中での考えが固まってきた感じです。
― セラピストもされてたようですが、どういった経緯だったのでしょうか?
補正下着を扱う部門がある知り合いのエステサロンで「セラピストとして女性のボディと心のケアをしながらランジェリーの勉強をしないか?」というお話があり、そこからセラピスト業界に入っていきました。心が疲れていたり、体についての悩みをかかえていたりする女性をたくさん見ていくうちに、補正下着についても、その時の即席メイクアップとして体を作っている印象に変わっていきました。
いろいろと勉強しているうちに、体を綺麗に見せるための下着ではなく、自分の心を彩るというところ、心が華やかになること、気持ちの面に寄り添うという方が私自身が好きだと感じたんです。
― ブランドに対する思いや大切にしていることは?
コンセプトが「じぶんを生きるランジェリー」でして、「じぶんの人生を生きる」というところに焦点を当てながら、女性のライフスタイル、生き方に寄り添う形でやっていきたいと思っています。
― その点がオーダーメイドにもつながっていくコアの部分なのでしょうか?
オーダーメイド、そしてセミオーダーも始めたところです。すごく素敵なデザインはたくさん世の中にあると思うのですが、その中から自分の好みのものを選ぶということも素敵な行為なのでそれはそれで楽しんでいただきたいと思っています。ただ、自分が心地よいものを自分で選択していく、考えていく、自分の生き方をデザインしていくということを、これからはやっていってもいいんじゃないかな? と思っています。それを手軽に体験してもらいたくて、現在のセミオーダーを始めました。
「こういう女性になりたい」「こんな雰囲気になりたい」という気持ちをランジェリーで表現してみては? ということを提案したいと思って。
― 年月と試行錯誤を重ねてオーダーランジェリーを作ってらっしゃったということは、そこへの情熱や、小柴さんなりの理想の形があるのでしょうか?
そうですね。何がやりたいかというと、お客様とお話をしてフルオーダーのヒアリングをすることですね。その時にお客様がどんな方なのかということを私の中で把握して、その方が望んでいるデザインと、私の中でこのお客様のココが素敵だ!という所をミックスしていくことが好きです。それをもっと気軽にできるようになると、お客様もこちらも喜びがあって”win-win” な関係ができるようにしたいんです。魅力を引き出していくところも醍醐味です。
― すごくハッピーですね! 着る人の人柄や魅力をグンと引き出すという点はフルオーダーならではですね。自分を表現したい女性にもとても響くと思います。
はい。よりハッピーになってもらえるよう、今後は3段階くらいの価格設定を作りたいと考えています。
そうですね、コンセプトややりたいことは響いてくれると思うのですが、‘伝えていく’という面ではなかなか大変だと感じているんです。フルオーダーをいきなり打ち出しても敷居が高くなって目を向けてもらう機会が少ないと思うので、リーズナブルなラインのブラショーツも打ち出していく予定です。
― デザインはもちろん、ホームページ拝見していても世界観や紡がれている言葉もとても美しく感じますが、小柴さんの感性やセンスはどうやって磨かれてきたのですか?
嬉しい~! なんだろうなぁ わからないです笑
― いきなりでしたね(笑)普段から小柴さんご自身が‘自分の好きなもの’に敏感だからこそ、お客様にもランジェリーをそうやって選んでほしいという思いがあるのでしょうか?
それはあると思います。年齢を重ねたこともあり、最近は少しでも不快感のあるものは嫌になってきていて・・・肌触りなども気になる部分があると嫌なんです。
快適なものを味わったという理由もあるかもしれませんが、気持ちを高めることや心地良く居られるもの選ぶようになってきました。
― ご自身で自分用のオーダーメイドを作ることもありますか?
あります。最初はまずは自分用に作って試しています。今回発表した新作も自分で1度サンプルを作りました。
― 今まで一番印象に残っているお客様とのエピソードを教えてください。
私と同じぐらいの年齢のお子さんをお持ちの方から「授乳ブラ」を作りたいというオーダーがありました。子供が1歳になる前で同じような境遇でした。
ちょっと忙しくて女を忘れがちな時期なんですね。そんな時に旦那さんから「いつも同じようなブラはちょっと嫌だ」と指摘されたお客様が、‘悔しいけれども女として忘れたくない部分もある’という思いがあったようでご依頼をいただきました。
授乳ブラを作るのは初めてだったので、色々と研究してから取り掛かりました。初めてで難しいかなと思ったこともあり、ブラキャミソールをご提案しました。ブラキャミソールで授乳もできてセクシーさもあれば安定感があると考えて作りました。
お客様にヒアリングをしていると、レースの雰囲気だったり細かい部分へのお客様なりのこだわりが出てきてどんどんお客様も掻き立てられてくるんです。その姿を見ていて私もとても楽しかったです。
‘やっぱり女性は母親になる瞬間もあるけれど、女でいたいんだな’って。自分もそうだけれど周りからもそれを感じてとても感動したというか・・・共感しましたし、‘やっぱり母親の人たちにも頑張ってほしいし一緒に頑張りたいな'と思いました。
― お産の前後で女性は体型も変わっていくと思うのですが、それによってランジェリー製作への意識変化はありましたか?
ランジェリーブランドを始めたのは出産後なのですが、ランジェリーへの考え方は変わったと思います。
バストもアンダーもどんどん大きくなっていくので変化に合わせて買い替えるのですが、いつもより大きいブラを購入するときにどうしてもデザインの幅が狭まっていく傾向があると思っています。バストの大きな方からのご依頼も多いのですが、大きいブラで自分好みぴったりのものが少ないというお悩みを抱えている方が多いです。
どうして大きなサイズのブラはデザインの幅が狭まる傾向にあると考えるのかというと、支えることのできる素材が限られてくるんです。あとは大きなバストの方は垂れるのを気にしますから、支えられてホールド感があるものでという需要にどうしてもなります。
自分のグラマラスなバストを活かしてセクシーに見せたいという日本の女性は意外と少ないかもしれません。
日本人のランジェリーの考え方というのは、最近は見せて楽しむ時代に変わっていますが、少し前の時代や上の世代の方にとっては見せるということは興味がないというか考えもしないかんじ。
最近はSNSでもランジェリーモデルの方はタグ付けしていたりランジェリーファッションというジャンルが出てきたり、いろんなものが広まって皆が自分仕様を見つけられるようになったらいいなと思います。
― ランジェリーに目覚めるきっかけとなったランジェリーについて教えてください。
目覚めたランジェリーはインポートのものでした。日本だと刺繍ものが多いですが、レースが綺麗なものが好きでインポートにたどり着きました。
― アート関連の企画もされているようですがどんなことでしょうか?
ついこの間、クラウドファンディングでラジオパーソナリティーの藤田みささんが写真集を出されるということで、うちのランジェリーをご提供という形で貸し出ししたのですが、写真集のコンセプトが「ありのままの私を表現する」というものでLingerie artのコンセプトとマッチする部分があるんです。自己表現をする方に求めていただけているなと感じました。
今後でいいますと、リアルなイベントになるのでどのタイミングで開催するか迷っていますが、他にも写真関連のものも企画中です。ランジェリーのファッションショーもいつかやりたいですね!
― 今後の展開についてお聞かせください。
ランジェリー事業の他に、3Dの撮影部門を始めていて「バーチャルショップ」「バーチャル展示会」を開催しようと思っています。
もちろんVRのカメラを持っていれば展示会のバーチャル空間に入ることが出来るのですが、VRカメラを持っていなくても3D空間をWEB上で観ることができます。そこからオンラインでショッピングも出来るようなものを考えています。
4月以降はセミオーダーも増やしていく予定です。スリップの他ブラショーツのセットや小物類の発表も。いきなりブラショーツだと敷居が高いかもしれないので、キャミソールやルームウェアなど今考えているところです。
― デザインについて、「描く!」となるとインスピレーションが浮かんだり一気に出来上がったりするのですか?
悩むときは悩みますが、作りたい物のだいたいの路線が決まっているのと書き溜めていたデザインもあります。
私の場合は、コンセプトを先に決めていて、デザインのベースは基本的にクラシカルなものやヴィンテージ感を取り入れていき抜け感をプラスしていっています。そこに毎回のコンセプトに合わせて素材や形を決めていきます。
今おつきあいしている工場さんとはタイトなスケジュールにも対応できる体制が整っている部分も大きいです。2か月に1度はちょこちょこと新作を発表していけるかなと。
その方が私も楽しいですし、お客様にも「次は何かな?」って楽しんでもらえるなと思っています。
― 今後の新作も楽しみにしています。発売されたばかりの新作のポイントを教えてください。
“Romantica” そして”Antique flower” という2つのシリーズなのですが、今回は「大人の女性のキュン」がコンセプトになっています。
年齢を重ね、若さという面からは遠のいてきたことを自覚せざるを得ない場面を感じ「可愛い」という枠から引退しなくちゃいけない、でも可愛さも失いたくない。20代のころの「可愛い」とアラフォーになった今求めている「可愛い」はまた違う。そこで、これからはどんな「可愛い」を表現したいんだろう?と考えました。
どんなに歳を重ねても、少女のような遊び心を持っていたり、「キュン」とするような気持ちを感じていたりする人はいつまでも可愛さが滲むものではないか、という考えに辿り着きました。「キュンのセンサーを研ぎ澄まして、じぶん自身の可愛いを表現しよう」というメッセージを込めています。
“Romantica” は妖精のような可憐さとロマンチックな雰囲気を演出しています。ストライプ×グリーンレース生地はヨーロッパから仕入れた数量限定の素材です。
そして超ソフトな国産チュールはエアリーで肌と同化するくらいの軽く気持ちいい触り心地がポイントです。
“Antique flower” も、ヨーロッパから仕入れた、フラワー柄のストレッチレースを使用しており、ベージュピンクシルクサテンの組合せが目を引く印象となっています。アンティークなフラワー柄が少女時代のような懐かしい甘さを感じさせます。
どちらのシリーズもアンダー部分とショーツにはシルクを使用しています。
アンダーは後ろのアジャスターで調整可能です。またスライド式ホックになっており、ゴールドのホックを使用してリッチな印象を持たせています。
― その他にもおすすめの商品はありますか?
カラードロップシリーズは、コレクションとして初めて量産のものを作りました。
どうしてシンプルなものにしたかというと、装飾的なものをできるだけ削ぎ落して、自分のありのままの姿を感じてもられるようにしたかったんです。本当に薄―い素材でスケスケです。パットも着けていないですし、全部スケスケ(笑)。
‘全部みてほしい、自分の体と向き合って欲しい’という思いから、あえてそう作っています。肌感も伝わるくらい。そういうところから生っぽい色気というか、本来の自分自身に目が向けられるランジェリーにしたかったんです。デザインの特徴としては、お胸を入れたときにブラが雫のような形になります。なのでカラードロップという名前にしました。
SMとMLの2サイズ展開で、スライド式のアジャスターでアンダーを調整します。よく伸びる素材を使用しているのでどのような体形の方でもお使いいただけます。
ショーツはシルクで着心地が良いです。極力シンプルに仕上げて肌ざわりは優しくしています。
セミオーダーのシルクスリップは、バストカップ部分はシルク2枚重ねになっておりまして、ストラップもカップ裏も色の変更ができ、レースも部分も種類を選ぶことができます。
他には、川俣シルクという伝統100年くらいの国産100%シルクのものを使ったものもあります。川俣シルクは生地の展示会を回って選びました。テカテカしすぎず程よいマット感が入っているので、上質でリッチな雰囲気が出るんです。お客様からも好評なので今後オールシルクの物も展開してきたいと思っています。
Lingerie artではコンセプトを大切にしています。商品だけが1人歩きするのではなく、女性としての生き方やライフスタイルに寄り添っていきたいので、今後、伝え方も模索しながら皆様と一緒に楽しんでいけるよう私も頑張っていきたいです。
Lingerie art (ランジェリーアート)
OFFICIAL ONLINE STORE
https://www.lingerieart.store/
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@lingerie.art
飲んだくれていた日々から一転、健康を意識しだした今日この頃。女性の体型とライフスタイルは変われども、美容と健康は永遠のテーマ・・・ライフイベントに合わせたランジェリーライフを楽しんでます♡